1.遺言の指定がなければ話し合いで遺産を分ける
相続人が複数いる場合には、相続分に応じて各相続人に財産を分配する、すなわち遺産の分割が必要です。遺言があり、「○○の土地は妻に」というような分割方法が指定されていれば、それに従います。しかし遺言がなかったり、あっても相続分の指定(例えば、全財産を皆で3分の1ずつ分けなさいという風に書かれている)しかないような場合、また、遺言には書かれていない財産がある場合には、具体的な財産の分け方を相続人全員の話し合いによって決めることになります。この話し合いが遺産分割協議です。
遺産の分割には、期限がありません。しかし、相続税のかかるケースでは、申告期限(故人の死亡日から10ヶ月以内)までに終えられるよう進めていきましょう。
2.協議には相続人全員が参加する
遺産分割協議を行うには、次のことが前提になります。
まず、相続人を確定すること。遺産分割協議には、すべての相続人が参加します。相続人をひとりでも欠いた協議は無効です。
なお、相続人に未成年の子とその親権者がいる場合、両者は利害が対立する関係にあるので、子の特別代理人の選任が必要です。親族などから適切な人を選び、子の住所地の家庭裁判所に選任の申し立てを行うことになります。
3.納得するまで何度でも話し合う
協議は必ずしも全員が集合して行う必要はなく、電話などで連絡を取り合って進めることも可能です。ただし、協議の成立には全員の合意が必要です。また、いったん成立した協議は一方的に解除することはできません(全員の合意があれば解除できます)。遺産の分割にはいくつかの方法がありますので、全員が納得できるまで十分に話し合いましょう。